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Q&Aコーナー(単位編)

本ページもご利用頂くにつれ、いくつかの質問を頂くことも増えてまいりました。
その中で、単位についてのご質問の中からよく頂くものをまとめてみました。昔から人に説明するのに自信はないんですが、わからないことが有ったら一度読んでみてください。(説明が無意味に長いのはご容赦下さい。)
これを読んでもわからない場合や、読んだら余計にわからなくなった場合、当方まで御問い合わせください。

master@unitmarket.jp

ex1)「1リットルは何キログラムですか?」
ex2)「1kW は、何ジュールですか?」
ex3)「マッハは、時速に直すと何kmですか?」
ex4)「濃度1ppmは、何g/Lですか?」「vol%とか、wt%って何ですか」
ex5)「kg重の重って何ですか?」「質量と重量ってどう違うんですか」
ex6)「Nm3って何ですか?」
ex7)「kgf/cm2(g)のgって何?」(同じく、a、abs、gauge、Pe など)

ex1)「1リットルは何キログラムですか?」
上記のような質問を非常によく頂くのですが、答から申しますと、これは変換することは出来ません。これは、以下の2つの点で「出来ない」と、お答えしています。
第一に、これは対象が何なのかによって変わってしまうからです。
例えば、水なら1リットルは約1kg(常温では)ですが、水銀なら約13.6kgです。
一般に、あるモノの体積と質量の比を「密度」と言います。この値は理科年表などに記載されていますので、そちらの方をお調べください。(今のところ、当ページでは密度調べはやっておりません。悪しからずご了承下さい。)
第二に、「リットル」は体積の単位で、「キログラム」は質量(重量)の単位ですので、単位の問題としては変換できないからです。
確かに、お米やお醤油など、日常生活では色々なものを使ったり、買ったりするときはどちらで測る場合もあります。(お米を10kg買ってきて、炊飯器に250cc入れる、なんてのは普通です。)
先に申しましたように、密度さえわかれば体積から質量を求めることは出来ます。ですが、質量は質量、体積は体積で、飽くまで物理的には全く違うものを表しています。
一例ですが、例えば1リットルは1000ccで、どちらも体積の単位ですからこの関係が変わることはありません。これは、相手が水でも米でも醤油でも、気体でもなんでも関係無く、体積は体積だからです。
ですが、例えば気体は同じ気体でも、密度は温度や圧力などで大きく変わりますし、お米もたとえ同じ品種でも、育ちや粒の形や大きさで1升が何kgかは変わるはずです。
たとえ水であっても、精度を必要とするならばその時の温度や、圧力さえも無視できない場合があります。
体積から質量を求める(あるいはその逆)というのは、その条件等をしっかりと把握して行わなければいけない、れっきとした技術計算であり、単位の変換とは次元の違う問題であるとご理解下さい。

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ex2)「1kW は、何ジュールですか?」
良く似た条件で、同じ様な意味で使われる単位でも、実は全く違う量を表す場合があります。

上の例で挙げました[kW]、[J(ジュール)]は、どちらも、エネルギーを表す単位としてよく使われているのですが、前者は「一定時間に」使われるエネルギーの割合、後者は使われたエネルギーの「総量」を表すものなので、単純には相互に変換することは出来ません。例えば、時速100kmと、距離100kmでは、同じ高速道路で使われても、全然違うモノの量を表してますよね?うまい例ではありませんが。

このWWWページで用いているシステムの関係もありまして、相互に変換できない単位を誤って変換しない様、本ページは一番最初に単位の種類を選択するようになっています。先ほどの例では、[kW]は、力率、[J]は、エネルギーの項目に分類されています。
このため、必要とされる単位を捜し出すのに苦労される場合も多いこととは存じますが、 何卒悪しからずご了承下さい。

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ex3)「マッハは、時速に直すと何kmですか?」
良く使われるものであっても、決まった割合で変換出来ない単位(?)もあります。

この例に挙げた「マッハ(M)」という値、マッハ数もその一つで、これは音速(音の速さ)の、何倍であるか、を、表す値です。
なぜこれを変換できないのかというと、音の速さというのは条件によって変化するためで、地上と高空では、実はけっこう差があるのです。
ちなみに、良く使われる値として 音速=340m/秒 という値がありますが、これは地上でだいたい常温のときのだいたいの値で、気温、湿度などによってちょっと変わってきます。
特に、高空に行くと気温が下がり、音速はけっこう遅くなってくるそうです。
厄介なことに、このマッハという値はこの高空を飛ぶ航空機などに良く使われる(それには、無論それなりのわけがあるのですが)ので、この数値を用いるときには少々注意が必要と言えます。

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ex4)「濃度1ppmは、何g/Lですか?」
同じように呼ばれる単位でも、実はちょっと違う単位というのがあります。

上記の2者は、両方とも「濃度」の単位として使用されておりますが、厳密には、前者は「分率」で、後者が「質量濃度」といいます。ちなみに、分率には「質量分率」と、「体積分率」があり、本当は[wt ppm]と[vol ppm]などのように、区別して使う必要があります。
具体的に言えば、1[wt ppm]は、その混合物1000gにその成分が0.001g混じっていることを、1[vol ppm]は、その混合物1000リットルに、その成分が0.001リットル混じっていることを表します。
濃度というのは、「その成分の、全体に対する割合」と、言ってよいと思いますが、ここで全体を表す単位と、成分を表す単位の組み合わせというのが実に様々に考えられます。この組み合わせの違いにより、一口に濃度と呼ばれるものでも様々なモノが生じることになります。
よく使用するものだけ、ちょっと表にしてみます。
成分全体名称
質量質量質量分率wt ppm、wt %
質量体積質量濃度g/L
体積体積体積分率vol ppm、vol %
モル数体積体積モル濃度mol/L
これらは、皆、濃度と呼ばれていますが、単位としてはそれぞれ別の種類になりますので、本当は相互に変換することは出来ません。お気をつけください。
....ですが、ごく薄い水溶液の場合、1[wt ppm]は、約1[mg/L]とする場合があります。細かい理屈は割愛いたしますが、飽くまで、「おおよそ」の、話であることは、ご承知置き下さい。

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ex5)「kg重の重って何ですか?」
この「重」は、「重量」を表すものです。
この場合、「kg」は質量を表す単位であり、「kg重」は、力(重さ)の単位です。
一般に、「重さ」は、モノの量を表すのによく使用されます。ですが、本当は、重さというのは、そのモノにかかる重力の大きさ、であって、直接そのモノの量を表しているのではありません。よく挙げられる例は、宇宙空間に移動した場合の話です。

仮に、お肉屋さんでヒレ肉「1kg」を買って来たとします。地球上では重力がありますので、この肉には「1kg重」の重力がかかっています。手に持てばずっしりと重さを感じますし、秤(はかり)に載せれば1kgを指すでしょう。
ですが、仮にこの肉を宇宙ステーションに持って行ったとします。宇宙空間では重力がほとんど無いので、ここでは「重さ」を感じることは出来ません。地球製の秤に載せれても、[0kg]と出るでしょう。ですが、別にお肉が消えてなくなったわけではなくて、どうにかして焼いてしまえば、3〜4人でもたっぷり食えるステーキができ上がります。
この様に、そのモノの持つ普遍の「量」としての重量を、「質量」と呼び、先ほど述べた「重さ」とは区別します。
単に重量と言った場合、「質量」を表す場合と「重さ」を表す場合が有るようですが、厳密には、重量は「重さ」の意味で使うべきものであるようです。
ですが、日常生活では「重量」あるいは「重さ」と言った場合は、「質量」の意味で用いられている場合が多いようです。ちょっと注意が必要ですね。
なお、[kg重][kgf][重量kg]など、色々な書き方がありますが、これはすべて同じ「重量kg」を表しており、また、[lb]と[lbf]、[トン]と[重量トン]など、同じ関係の単位は多数ありますのでご了承下さい。

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ex6)「Nm3って何ですか?」
これは、気体の体積を表すために使われる単位で、「のーまるりゅーべ」とか、「標準立方メートル」とか読みます。
意味から申しますと、「0℃1気圧にて測ったときの、体積(立方メートル)」という意味です。
なぜわざわざNをつけるかといいますと、気体は、圧力や温度で体積が変化するため、気体の量としての体積を測ろうとする場合、その基準を決めておかなければ成らないからです。 逆に、実際の体積を知るためには、その気体の圧力と、温度から計算する必要があります。
また、似たものにStandard条件と呼ばれるものもあります。これは、「華氏温度で60°F(摂氏15.6℃)、絶対圧力14.7psi(1.0003atm)にて計った場合」の体積を意味し、立法フート(cubic feet)などと共に使われることが多いとのことで、Standard Cubic Feetを略してSCFなどと表記するとのことです。(詳細は調査中です。)

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ex7)「kgf/cm2(g)のgって何?」
この場合の(g)は、「ゲージ圧」を表します。
ゲージ圧とは何かといいますと、「大気圧を基準に測った圧力」という意味です。これに対しては「絶対圧」というものがあり、これは「真空を基準に測った圧力」という意味になります。
工業用途で用いられている圧力計(ゲージ)は、大部分がゲージ圧ですので、測定する部分が大気と同じ圧力の場合に、ゼロになります。
工業的には、この圧力差が重要な場合が多いのと、計器の構造上も簡便なため、このゲージ圧が広く使用されています。
これに対して、絶対圧の圧力計は、同じ場合にはその日の大気圧(約0.1MPa)を指します。(なお、大気圧は日によって変わります)
物理学的な圧力や、露点、沸点、真空などを測る場合は、真空を基準とした絶対圧で考える必要があります。
絶対圧とゲージ圧の関係ですが、

絶対圧=ゲージ圧+大気圧

ですので、絶対圧の方が、大気圧分だけ高くなります。
なお、絶対圧を表す記号としては、absoluteの略で、(a)、(abs)、(absolute)などをつけたり、Pabs=○○atmと書いたりします。
それに対して、ゲージ圧では、(g)、(gauge)などを用いるほか、Pa(gauge)の意味で、Peという記号を用いることが有るそうです。(あまり見ませんが。)

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2001.2.11 制作者

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